それでも

完全自己満足のCH二次創作ブログです。 想いのままに書き散らかしています。

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鼓動を聴きながら

お待たせしました。ようやく完結です。

















あの日から痛みが消えない。







動を聴きながら








中途半端な小雨が俺をいっそう憂鬱にさせる。

「あの・・・課長・・?」

資料を提出しにきた女子社員の声に思考が止まる。

「・・・あぁ、悪い。サンキュ」

怪訝そうな顔をした女子社員に気づかないふりをして、資料に目を落とす。
正直言って、資料の内容も、午前の会議も、全く頭に入ってこなかった。
惚れた女に男がいたからって、まさか自分がこうなるとは。
女に振り回される年でもないのに。それでも目が耳が、全神経が、彼女を追う。


(マジでどうしたんだ、俺・・・)



惚れてるなら、自分から行動すればいい。
今までも、これからだってそうするつもりだった。大抵の女を落とせる自信はあったし、別に他に男がいても構わなかった。

それなのに。

彼女の口から決定的事実を聞くのが怖くて、それもできやしねぇ。



『ごめんなさい』



困惑の表情を浮かべながら言う彼女を想像するだけで、心臓が音を立てて軋む。
だったらこれまで通り上司と部下の関係の方が、と考えてしまうのは、俺が臆病だからか。





「お先に失礼します」

いつもより早い退勤に、周りが彼女へ声をかける。

「なに、香、これからデートぉ?」

単なる冗談も、今の俺には不安材料でしかない。
またあの痛みが走る。

窓のブラインドを指で押さえ、彼女の姿を探す。
しばらくすると小走りで駆けていくワンピースが目に入った。
ピンクは珍しいな、と思ったのもつかの間。
駆けていった先には傘をさした男が―――。

そこからは正直記憶がない。
どこをどうやってたどり着いたのか、

「槇村っ!」

気づけば叫んでいた。

「っ、・・・冴羽課長!?」

振り向いた槇村、そして槇村が腕を回している男も驚いた表情をしている。

俺は息を整えながら、二人の姿を凝視した。
呼び止めたまでは良かったものの、さて、これからどうする俺。
そんな俺の困惑など気づいていない槇村は。

「あ、もしかして何かミスしました?あたし・・・」
「あ、いや・・・」

きょとんと小首をかしげながら俺を見る槇村。ああ、何の作戦もなく敵陣に乗り込んだ気分だ。
そのとき、隣の男が口を開いた。

「香、こちらは?」



『香』という言葉に反応する。

「あ、こちらは冴羽課長。とてもお世話になっているの」
「あぁ、あなたが。いつも香がお世話になっています」

そう言って頭を下げる男をよく見ると、一見頼りなさそうだが、メガネの奥の目は芯の強さを感じさせる。きっと、どんな場面でも逃げずに槇村を守り通すだろうと、簡単に想像がついた。

この男が槇村の。




「冴羽課長、こっちは兄です」





そう、この男が槇村の。


















   




















は?







あに?








兄?






―――兄弟!?


下げていた視線を元に戻す。

「香の兄の槇村秀幸です。こいつ、仕事でミスしていませんか?おっちょこちょいなところがあるので厳しくお願いしますね」

「あ、はい。こちらこそ・・・」

「あ!アニキ!時間っ!」
「お、そうだった」

「じゃぁ、失礼します」
ぺこりと頭を下げると、二人は去って行った。


「冴子さん、大丈夫かな」
「まぁ、あいつなら大丈夫だろ」
「あ~、楽しみ!どっちかな?」
「無事に産まれてくれればどっちでもいいな」


腕を組みながら楽しそうに会話をする二人を眺めながら、俺はしばらく動けなかった。






(・・・きょうだい・・・か)






まるで棘が抜けていくように、痛みが和らいでいくのがわかる。
呼吸が楽にできる。
さっきまでの自分を思い出すと顔から火が出る思いがした。
もしかしたら今日はたまたま兄貴だっただけで、本当のところは付き合っているやつがいるかもしれない。
こんなに振り回されて気持ちをかき乱されて、まったく、自分のキャラじゃねぇっつうの。

でも、不思議と気分は悪くない。
心底惚れた女になら、結局何でもいいのかもしれない。





今はまだ呼べない下の名を呼べたのなら
彼女の鼓動を聴きながら眠る日は近いかもしれない。
















《オマケ》

「俺、もう我慢しねぇからな」
「へ?冴羽課長、何か我慢してたんですか?」
「・・・」
「あ、食堂の特別ランチのことですか?」
「ちがうっつーの」
「じゃ煙草ですか?」
「いつも吸ってんだろ」
「・・・?」
「すっげぇあまいもんだよ」












冴羽さん、いつになく弱気というかへたれというか。
中途半端ですみません!
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