それでも

完全自己満足のCH二次創作ブログです。 想いのままに書き散らかしています。

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captivity(7)

過去最高速度更新。

※1/15加筆修正しました。










「・・・なぁ」




まだ荒い息をつく女を横目に、俺は疑問に思っていたことを口に出した。





「・・・っはぁ、な、にっ・・・?」



「唇」










「触れられんの、嫌なのか?」












肩で息をしていた女が一瞬、止まる。



「・・・なん」
「そらすだろ?いつも」
俺と目が合ったかと思うと、すぐに目を閉じた。



「・・・たっ・・・またま、よ。き、ぶんっ・・・じゃなかった、だけ」



呼吸を落ち着かせながら、女は嘘を吐く。

これから絶頂、というときに「気分じゃない」なんてことがあるのだろうか。








「そうか」

俺もまた目を閉じ、紫煙を吐き出した。




*******************************************



あぶなかった。


わずかにした動揺に気づかれなかっただろうか。

あの男のことだ。
恐らく、あたしの嘘にも気がついている。


あたしは唇に触れられるのが好きじゃない。
たまに客も唇を寄せてくるが、何とかかわせることが多い。体を売っておいて何を今更、と自分でも思うけど、唇だけは何だか許してはいけないような気がして。

でも、この男の前ではどんな抵抗も無意味だということを知った。






あたしの知らなかった快楽を教えた男。

あたしの知らなかった「男」を教えた男。

あたしの嘘を見破り、何も言わない男。

そしてそれを、心地いいと感じてしまっているあたし。







だから、あの男は危険なのだ。













男が去ってから5日。
これまで2日とあけずに来ていた男が、現れない。



そこまで考えてハタと気がつく。

客が来ることなど、今まで待っていたことがあっただろうか。
しかも指折り数えてまで。



(どうせ飽きたんだろ・・)



あれだけの男だ。

他にも女がたくさんいるに決まっているし、そもそも独り身かどうかも分からない。




抱きたいときに来て抱く



それこそがあたしの求められる理由ではないか。
思い人を待つように焦がれるなんて、ありえない。
あたしにはそんなこと、許されない。





しばらくすると、指名が入った。






目の前の男は以前、あたしを買った男だった。
布団に横たわり、ことを始めようとする男にふと違和感を覚える。









あたしに触れる手の感触が違う。

手が体を這う順番が違う。

息づかいが違う。

瞳が違う。






今までだったら気がつかなかったことだ。
誰かと比べるなんて。
こんなにもあのリョウという男に惹かれていたのか。
商売女のあたしが?



そう思うと、自分の惨めさに笑えてくる。






ばかばかしい。






目の前の男の背中に、あたしは腕を回した。







*******************************************





思っていたよりも厄介な仕事だった。

2日で片付けるつもりが、5日もかかっちまった。




自然と足早になる。
別に約束なんざしていないが、毎晩のように抱いていた体から離れると、こうも物足りないものなのかと自分でも驚くほどに感じていた。



(海原に言っては来たが・・・)



それでも、あの女が客を取らないなんていう保証はない。

どこぞの物好きがあいつを指名する、なんていうことは十分考えられる。






そこまで考えてハタと気がつく。

あいつは商売女だぞ?
好きなときに抱いて飽きたら捨てる、都合のいい女だ。
今ごろ他の男に抱かれているかもしれない。



その女のために、俺は今、走っているのか?








ゆっくりと足を止める。

息を切らして、俺らしくもない。





たった一人の、しかも遊女のために。























でも。



あの表情も、あの声も、あの体も。

全部自分のものにしてしまいたいと思ったのは本当。

情事のときだけじゃない。本当の素顔を知りたい、笑った顔を見たいと思ったもの本当。










(・・・じゃそれが答えだろ)










思うより早く、俺は駆けだしていた。














暖簾をくぐると、すぐにあいつを指名した。
しかし返ってきた言葉は「客を取っている」ということ。


全身の血が逆流するような感覚。

係の男を半ば脅し、部屋へ案内させる。




びくびくと怯えながら「こ、ここです」と言う男にはかまわず、俺は襖を乱暴に開けた。















自分の気持ちに向き合うことをよしとしない女と
珍しく自分の気持ちに素直に従う男。







とりあえず、シリーズごとにカテゴリをまとめてみました。
少しは見やすくなったかな・・・?



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