それでも

完全自己満足のCH二次創作ブログです。 想いのままに書き散らかしています。

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限界点

昔、大好きだった某サイトさまに投稿させていただいたものです。
処女作なので、今読み返すと顔から火が。
ちょこっと加筆修正しております。
















俺は今、大変な厄介事を抱えている。
裏世界でNo,1スイーパーと謳われているこの俺を悩ませることと言ったら一つしかない。







界点






ことの始まりは3日前。
香の親友で、超有名ブランド『キタハラエリ』のデザイナーである絵梨子さんから依頼が入った。


依頼内容は
「一週間親戚の子を預かってほしい。」

・・・オイオイ。
うちは託児所じゃねぇっつうんだ。
そんなのうちに頼むことじゃないだろぉ?
「悪いけど、」
他あたってくれる?
俺の言葉はそう続くはずだった。
だってそうだろう。
ガキのお守りなんてまっぴらごめんだし、何よりモッコリ美女の依頼しか受けないという俺のポリシーに反する。

しかし、それより早く絵梨子さんは香にその親戚のガキとやらの説明をし始めた。
「名前はね、妹尾竜介っていうの。年は4つで・・・・・」
延々と続くような絵梨子さんの話を、香は「うんうん」と真面目に聞いている。
・・・無視かよ、オイ。


やがて、
「分かったわ。まかせてちょうだい!」
と、相棒さまがこたえてしまったから俺は慌てた。
「ちょ、ちょっと待てっ!俺は反対だからなっ!もっこり美女ならともかく、ガキのお守りなんてずぇぇぇったいヤダ!!」
ハンマー覚悟で俺は必死の抵抗を見せた。この際ハンマーだろうがコンペイトウだろうが甘んじて受けてやる!

すると香は、
「別にアンタの意見なんて聞いてないじゃない。今回はアンタじゃなくあたしへの依頼なんだから。」
と、しれっと言いやがった。

だーかーらー。
「そういう問題じゃねぇだろ!俺への依頼じゃなくても、俺がガキと一緒に住むことには変わりねぇだろうがっ!」

香は、ハァハァと息を切らせて断固拒否する俺を一瞥すると、

「いいじゃないの、一週間くらい。そんなに嫌だったら、竜介くんが帰る一週間後までどこかに泊まって来れば?
泊めてくれる子くらいいっぱいいるんでしょ?」

と、のたまった。

ぐっ。

今朝の朝帰りがまだ尾を引いているのか?
いや、それとも香の下着をこっそり盗んでいるのがバレたか?
いや、それともあれか?
いや、それとも・・・。

俺の沈黙を承諾と取ったのか、香は絵梨子さんと話を進め始めた。

こうなるとさすがの俺も逆らえない。(こういうときの香はハンパじゃなく怖ぇ。)
結局、俺の言い分はすべて却下され、絵梨子さんの依頼を受ける羽目になったのだ。


**************************************


絵梨子さんの親戚のガキは、えらく生意気だった。
わがままだわ、いたずらはするわ、そこらじゅう散らかすわ。少しは大人しくしてろってぇの。
俺が言えたことじゃないが親の教育がなっとらんな、ありゃ。
まぁ、親が共働きで自分の子どもを親戚に預けるっつうんだから、それなりに寂しい思いをしてるのかも知れんが。

はじめこそ、竜介のわがままぶりに振り回されていたが、そこはもともと子どもの扱いがうまい香。
竜介の態度の原因が寂しさからくるものだとわかると、その心の隙間を埋めようと何をするにも竜介の傍にいようとした。

竜介も、そんな香に甘えることを覚え、いまや、
「かおり、きょうもいっしょにおふろはいろうなっ!」
などと言いやがる。

何で呼び捨てなんだよっ。
つぅか、風呂くれぇ一人で入れっつの!
あ、コラ。
おまぁも笑顔で返事してんじゃねぇよっ。


何となく、気に入らない。
竜介が来てからというもの、香はほとんど竜介にかまいっぱなしだ。
いつもの俺なら、これ幸いとナンパや飲みに行くのだがなぜか気分が乗らない。

「リョウ、今夜も飲みに行かないの?」

いつものポーカーフェイスで一人考え事をしていると、ソファーに座った香が声をかけてきた。
ひざに竜介を抱いて。

・・・何か、気に入らない。

首を傾げて大きな瞳でキョトンと俺を見る香は、ここ最近俺が飲みに出かけないことを不思議に思っているらしい。

そりゃそうだよな。
こんなのいつもの俺らしくない。

「な~に~、香ちゃん。リョウが出かけないで嬉しいって言えばいいのに~。リョウちゃんってば愛されてる~。」

「ばっ、ちがうわよ!!アンタが飲みに行かないとツケがたまらなくて助かると思っただけよ!」
いつものごとくからかいの言葉をかけると、香は白い肌を真っ赤に染めて言い返してくる。
久しぶりのやりとりに心地よさを感じていると、俺の顔を見ていた香が急に立ち上がった。

「もう!リョウのばか!またそうやってバカにして!!竜介くん、こんなオジサンほっといてお姉ちゃんとお風呂に入ってこよう?」

やべ、俺今笑ってた?

リビングを出る時、香に連れられた竜介が振り向いた。
何かと思えば、

「おやすみなさい、オジサン。」

だと。



一人残されたリビングでしばらく考え事をした。


なんでナンパや飲みに行かない?

なんで竜介が香を呼び捨てにするのが気に入らない?

なんで香がひざに竜介を抱いていたことが気に入らない?

なんで香と竜介が一緒に風呂に入ることが気に入らない?

なんでさっき俺はニヤけてた?

これ、最近の俺の「厄介事」。
今まで気付かないようにしてきたんだが・・・、竜介の存在で嫌でも俺の頭をよぎる。


・・・答えは決まっている。

「・・・ん~・・・でもなぁ~・・・。」

手を伸ばせばすぐそこに答えがあるのに。
自分でも往生際が悪いとは思うが。
最後の最後まで、認めたくない自分がいて。
反対に認めてしまえという自分もいて。
-しばしの葛藤の末。


「こういう時は、もっこり美女に、なぐさめてもらおーーっと!」

考えることを放棄した。
俺の「厄介事」は、いつもこうして終わりを告げる。
らしくない空気を振り払うかのように、俺は一人でおどけて見せた。
誰もいないリビングで、誰に言い訳をしたのか。


玄関に向かい、靴を履くと、後ろからパタパタと足音がした。
振り向くと、竜介がこっちへ走ってくる。
なんで裸なんだ?

「おい、何やってん・・・」
「コラーーー!!竜介!」

俺の言葉に重なって、香の声がした。
見ると、香が怒って走ってくる・・ところ・・・なん・・だ・が・・・。

「もう!だめじゃない、裸で飛び出しちゃ!風邪ひいたらどうするの!ほら、早くおいで。」
言うより早く、竜介は香の腕に、持ってきたバスタオルごとおさまった。
「だって、はやくえほんみたいんだもん。」
という竜介の子どもらしい言い分に、香はふふっと笑うと、
「寝る前にちゃんと読んであげるから、お風呂にもちゃんと入ろ?」
と、竜介を抱き上げた。

すると香は俺を見て
「今出かけるところ?あんまりツケつくらないでよ。」
と微笑むと、竜介と何やら言葉を交わしながら風呂場へと戻って行った。


・・・・・。



やられた・・・。
まったくの不意打ちだ。
アイツ、自分が女だってこと忘れてんじゃねぇだろうな。
バスタオル一枚体に巻きつけただけでウロウロすんじゃねぇよ・・・。



「はぁ~・・・。」

さっきようやく奥に押し戻した気持ちがまた出て来ちまうじゃねぇか。
洗いざらしの髪から滴る水滴。その水滴が首筋を通ってきれいな窪みの鎖骨へ流れ着く。
バスタオルからのぞく深い谷間と長い脚。竜介を抱く意外と華奢な腕。きめの細かいすべらかな白い肌。
化粧なんてしていないのに、紅く色づいた唇、長い睫毛。

普段「男女」だの「もっこりしない女」だの言っているのは何の為か、
「アイツ、マジでわかってないわけ・・・?」

・・・いや。
「俺がそうさせてるのか。」
思わず自嘲気味な笑みが出た。

女の裸なんて見慣れているはずなのに、バスタオル一枚の香を見た途端、俺の思考回路が停止した。
まるで、女の裸を初めて見た思春期のガキみたいに鼓動が早くなった。
それは、自分にとって香がどれほど特別な存在かということを認めるには十分だった。

どうやら、俺の悪あがきもここまでらしい。

今まで香の気持ちから逃げて、自分の気持ちを隠していた俺。




でも、もう限界じゃねぇ?












無意識に自分の魅力を全開にするカオリンにリョウが振り回されればいいなぁと思って書いたお話です。
実際はいろんなところで振り回されているんだろうけど、それを表情には出さないだろうな、きっと。
あぁ、憎いわ。

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