それでも

完全自己満足のCH二次創作ブログです。 想いのままに書き散らかしています。

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その言葉が聴きたくて(2)

お待たせしてすみませんでした!
続きです。










「それ、最近つけてるのね。お気に入り?」

うかつだった。続けて会う機会なんて滅多にないっていうのに、今回に限って2回ともつけていってしまった。
さすがデザイナー。目聡い。

「うん…、まぁ」
曖昧な返事をしたものの、友人の目はあたしの首から離れない。

「冴羽さんから?」
「ぶっっ」
飲みかけのコーヒーにむせる。
「なっ、なん…でっ」
「だって香がアクセサリーつけてるってだけでめずらしいのに、前回と今日もつけてるんだもの。これは相当大事なものなんだって思うじゃない。とすれば、相手は冴羽さんかなーって」

語尾にハートマークがつきそうな話し方。友人はにっこりほほ笑むと、「どうなの?」と無言の催促。
あたしはため息をつくと、
「ちがうわよ」
と、事情を説明した。



***


「あら、すてきね、それ」
美樹さんの視線の先には、あたしの首。
本日2度目の話題に顔がひきつる。
「そ、そうかしら?ありがとう」
たははは…と苦笑いをしながら、つけてこなければ良かったなんて今更遅い。
よりによって今日はVセーター。これじゃ見てくれって言ってるもんだわ。
でも、このセーターのモスグリーンとパールの淡い色が思いのほか合っていたから。華奢なデザインが気に入ったから。今日は絵梨子と会うしおしゃれしようかなと思ったから…なんて言い訳も今更だ。

「どこで買ったの?」
「へっ?」
「それ、どこで買ったの?」
「あ~、え~と…、」

ど、どこって、もらいものなんだから知るわけがないし、でもそれを言ったら絶対誰からってなるだろうし、そうしたら必然的にあいつの名前が出てくるだろうし、でもあいつからじゃないってなると誰ってなるだろうし、それでどういう関係ってなるだろうし、そしてなんでつけてるのってなるだろうし、でも、

「あら、冴羽さん」
「えっ」
振り向くのと、リョウがベルを鳴らすのは同時だった。

「いらっしゃい」
「あれ?今日はタコのやついねぇの?」
「今買い物に行ってもらってるの」
「へぇ、そりゃラッキ」

美樹さんと会話をしながら、リョウはいつもの席に腰をおろす。もちろんあたしの隣り。

「おまえ、絵梨子さんとのは終わったの?」
「え、あぁうん。絵梨子、相変わらず忙しいみたいで。ほんの15分で終わっちゃったわ」
「ふぅん」
なんとなく、リョウの顔が見れない。なんとなくだけど。

「今ね、香さんとアクセサリーの話してたの」
「ぶっっ」
飲みかけのコーヒーにむせる。本日2度目。
その話題、やめてほしい。
「今日つけてるの素敵ねって。どこで買ったか教えてもらおうと思ってたん」
「こいつ知らねぇよ」


「「え?」」
あたしと美樹さんの声が重なる。



「だって、男からのもらいもんだもんなー?」
「男」というところに微妙なアクセントをつけてリョウはあたしを見ながら言う。

「おとこぉ!?」
美樹さんの声がひっくり返ったかと思うと、瞬間、あたしと目が合う。
「香さん、どういうこと!?」
美樹さんの声が発する前に、リョウが続けた。
「そ。いつだっけ?おととい…3日前か?そこの通りでもらったんだよな?」
「な?」と一瞬あたしをとらえた目は、どこか楽しそうだ。
自分の顔に血がのぼるのがわかる。手が震える。

―――リョウは、知っている。

「あれは明らかに高校生だったよな。スポーツバッグ提げていかにも青春してます!って感じのやつ。」
リョウがコーヒーを飲む。
「知ってた?あいつ、おまえが来るのけっこう待ってたみたいだぜ。おまえが来てからもグズグズしてなかなか渡せなくってよ。ありゃ絶対ドウテイだな。で、あとつけて追いかけてやんの。見失いそうになると慌てて走ったりしてさー。顔真っ赤に」




バシッ




乾いた音が店内に響く。
美樹さんが身体を強張らせたのが気配でわかる。


「…最低」



一言絞り出すと、あたしはキャッツをあとにした。




足早に歩く。
人にぶつかって舌打ちされても、今はどうでもよかった。



悔しかった。
あの男の子の想いが、一生懸命さが、健気さが、全てが馬鹿にされたようで、汚されたようで、悔しかった。男の子に特別な感情があるわけじゃない。でもあたしもあの男の子のように一人の人を想う感情がある。その感情を、リョウが踏みにじったような気がして、かなしかった。











もひとつ続きます。
お付き合いいただければうれしいです。
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