それでも

完全自己満足のCH二次創作ブログです。 想いのままに書き散らかしています。

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到着

大変お待たせしました!『迷走』の続きです。予想外に長くなってしまいました
最後までお付き合いいただけるとうれしいです。完結です。














振り払われた手に、わずかに感触が残っている。相当力を入れて握ったはずだが。

『あたしはこれからデートなの。リョウ一人で帰って』


耳奥をひっかく言葉。
あの時香の目にはうっすらと涙が滲んでいたのは見間違いではないだろう。
・・・どうやら我がパートナーはかなりお怒りらしい。

それもそうだ。普段「男女」だの「唯一もっこりしない女」だの言っておきながら、今日の俺の行動は自分でもわけがわからない。香が混乱して怒っても仕方ない。
仕方ない・・・とは思っているが。
イライラする。
他の男のもとへ行った香へのいら立ちと、自分勝手な自分へのいら立ちと。
いつもより酒がすすまないのはそのせいか。

馴染みのマスターの誘いを断り、俺は早々とアパートに帰った。いないとわかっていても、無意識に部屋を見上げ明かりを確かめてしまう。やはり点いていない。
中に入り気配を探るが、わずかな期待は裏切られた。香はまだ、帰ってきていない。時計は11時をまわったところだった。

「あいつ、マジに帰ってこないつもりじゃねぇよな・・・」


リビングのソファから足を半分投げ出して、目を閉じる。


『で、今日は帰ってくんの?』
『・・・たぶんね』


思い出される今日のやりとり。
本気じゃなかった。簡単に他の男の所へ行かせるのが癪だった俺の単なるやつあたりだった。なのにあいつはいつものように怒らなかった。ハンマーがわりによこした言葉は驚くほどに俺を動揺させた。そう簡単に男になびくような女じゃないってことくらい分かっているが、なんといっても香は超がつくほど色恋沙汰には鈍い。放っておけばうまく言い包められてそのまま・・・なんてこともあり得る。だから追いかけて行ったのに、


『あたしはこれからデートなの。リョウ一人で帰って』


思い出しただけでイライラする。
だいたいデートに出かけたのに、なんで他の男にナンパされてんだよ。腕なんか触られやがって。履きなれない靴なんか履くから急なことに対処できなくなってんじゃねぇか。しかも助 け て や っ た 俺に、あんなふうに金を突きつけるなんざ、ホント気の強ぇ女。かわいげねぇし、色気もねぇ。そんな女、相手にする男なんかいねぇって。振られて泣くのがオチだって。

らしくもなくイラ立っているのが分かる。



「くそっ」



俺が迎えに行けば香は素直に帰ってくると思っていた。
それなのにあいつは。

どうしても香のせいにしてしまう自分の勝手さにまた胸の中がざわつく。
ソファから体を起こし、煙草に火をつける。肺の中に入っていくのを感じながら俺はまた、目を閉じた。


***********




もう少しで12時になる。あれから一人で泣いて考えて、いくらかすっきりしたと思ったら、ずいぶん時間がたっていた。別に本当に帰らないつもりじゃなかったけど、結果的にかなり遅い帰宅になってしまった。自然と足早になる。
部屋を見上げると、明かりは点いていなかった。飲みにでも行っているのだろうか。
なんでもいい。今は顔を合わせたくなかった。遅い帰宅をからかわれるのも、今日のやりとりも、何も触れられたくなかった。


玄関に入るとリョウの靴が目に入る。一瞬で跳ねあがる鼓動。もしかして、いる!?
(なんでこんな日に限って飲みに行かないのよ~~~~)
あたしは泣きたい気持ちになった。
とにかく、と に か く。今日は顔を合わせないようにしよう。それで、明日いつも通りに朝起こして、ハンマー落して。それで、いつもの二人に戻れる。うん。

気を取り直して、あたしは慎重に廊下を進む。鋭いリョウのことだから、あたしの気配には当然気が付いているだろうけど、今の時間だったらリビングか自分の部屋で飲んでいるはずだ。今日のことであたしに会いに来るとは考えられない。大丈夫、大丈夫。

呪文のように唱えながら自分の部屋にたどり着く。
(よ、良かった~~)
思いきり肩の力が抜け、息を吐き出す。電気の点いていない部屋は真っ暗なはずなのに、うっすらと光がさす。
「あ、カーテン閉め忘れてたん」













「よう」

突然、あたしの声に重なった言葉。
・・・聞きなれた声。

反射的に後ろを振り返ると、ドアが閉まるのと同時に姿を確認した。









心臓がうるさく鳴る。





「リ、リョウ・・・」



*******






香の気配がした。時計は12時を過ぎたところだった。
あまりにも遅い帰宅に舌打ちが漏れるが、帰ってきたという事実に安堵する自分がいた。
香のことだ。今日は俺と顔を合わせないようにするだろう。
いつもだったら俺もその選択をしていたはずだ。逃げて、次の日には元通りというお決まりのパターンを選んでいたはずだ。しかし今日はそれをするつもりはなかった。




「リ、リョウ・・・」



俺がいるとは思わなかったのだろう。そりゃそうだ。滅多に香の部屋には入らないこの俺が、よりによって今日、だもんな。




「オカエリ」

「なっ、んで・・」


俺に答えず、香は続ける。


「な、なんでアンタがあたしの部屋にいるのよ!」
窓際にいる香に月明かりがあたり、暗がりの中でも俺を睨んでいることが分かった。


「おまえと話したかったから」
「なっ、話すことなんてないわよ!出てってよ!」
「じゃおまえに俺が話あるの」
「き、聞きたくない!」
「そんなの知るか」
「ちょ、ちょっと!こっち来ないでよ!」
「おまえがうるさいからだろ」
「あ、あたしのせいだっていうの!?」
「いや、」











「俺のせいだよ」
そう言って俺は目の前の女を引き寄せた。初めて感じるぬくもりは温かくて、やわらかくて、やさしい香りがした。香は急なことに身を硬くしている。

「悪かった」
さらにきつく抱きしめる。
「俺のせいで、傷つけた」
硬かった体の力が抜けていき、腕の中からわずかに息を吐くのが聞こえた。
「ん・・・」
少し涙声になった香が、俺の背中に腕を回す。
「・・たし、も、ごめ・・・」
そう言って鼻をスンと鳴らす香が可愛くて、思わず笑ってしまった。


「なんでおまぁも謝んの?」
少し体を離し、腕の中を覗くと、顔を赤くした香と目が合った。
「だって、ひどいこと言っちゃたし・・」

デート宣言のことを言っているのか。そう言うと香は俯いた。
二ヤリ。


「だよな~。こんな時間まで帰ってこないんだもん。リョウちゃん傷ついちゃった~」
「!」
「変な男にひっかかってるんじゃないかって気が気じゃなくて~」
「んなっ!そんなわけないでしょ!」

俺の言葉に素直に反応する香が愛しくてたまらない。
「ホントに?」
「ホントに」
「何もされてナイ?」
「されてない!」
「じゃ」




いっそう強く引きよせ、耳元でささやく。
「俺にされてみない?」








香の返事を待たずに額にそっと唇を落とす。
見ると、これ以上ないというくらい顔を赤くした香。

「香、返事は?」







「・・・じ、時間をかけて・・お・・願いします



この上ない返事に、俺はまた香を抱きしめた。









*****

《おまけ》


「はははっ、おまっ、なんだ、それっ、時間をかけてってっ」
「だ、だってそうでしょ!急にいろいろは無理だから、ちゃんと時間をかけてほしいってことじゃないの!
もう!そんなに笑わなくてもいいじゃない!」
「ははっ。じゃ、その『いろいろ』ってなんだよ」
「い、いろいろはいろいろよ!」
「だからそのいろいろって?」
「~~~~~」













な、長かった~。無駄に長くてすみません。
そして楽しみにしていてくださった方々、期待はずれな展開でこめんなさい。
ここで終わりかよっ!と自分でも思うのですが、だめだ・・・。甘い展開が苦手です。
しかも完結までに間がかなりあいてしまったため、突っ込みどころが満載です。一貫性がありません。
・・・すみません!!(逃走)
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