それでも

完全自己満足のCH二次創作ブログです。 想いのままに書き散らかしています。

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声をきかせて(2)






ふと目が覚めた。
ブラインドからはわずかな月明かりが漏れるだけ。

目が覚める瞬間、何か聞こえたような気がする。
・・・何だっけ?
どこかで聞いたことのある音。
でも思い出せない。

再び訪れた眠気にあたしはまどろみかける意識の中で、
また、その音を聞いた。





***






リョウの恋人宣言から1週間。



相変わらずだらしのない生活ぶりのリョウに、あたしもまた相変わらずを装う。
自分には何の可能性もないと知りながら、未だに傍を離れないでいる欲深さには
さすがの自分も驚く。
この期に及んで、
「そばにいられるだけで」と思える自分のおめでたさにも。

何の変化も感じさせないリョウだけど、
例えばさりげなく着飾って出かける夜とか。
せっけんの臭いを身にまとって帰宅する朝とか。
そういう小さなところに「彼女」の存在を知らされる。
その度に、目を覚ませと言われているような気がした。
それでもリョウは何も言わないし、
あたしもまた、何も言わなかった。


「リョウ、今日の夕飯、何がいい?」
めずらしく潤った冴羽商事にたまには、と思いあたしは尋ねる。
「あ~・・・。」
キレのない返事に、あたしは瞬時にその訳を知る。
「・・・今夜も、デートだった?」
「・・・あー、うん、・・・まぁ。」

・・・カチ・・・

「あ、うん、そっか。
そうだよね!やっだ、あたしったら!
デートじゃ仕方ないよね~!
今夜はどこに行くの?
もしかして、おしゃれなお店とか行っちゃってるわけ!?
あ、でもあんたの財布じゃ無理よね。
まさか、いつものお姐さん方がいるお店じゃないでしょうねー!」

次々と出てくるあたしの言葉に、
リョウは無言で答える。
どうも気まずくて、また言葉を繋ごうとした瞬間、

「お前に関係ない。」

その一言を残して、リョウは部屋を出て行った。

・・・カチ・・・

「あ、あは。
やだ、あたしったら。」

余計なこと、言っちゃった。
あたしには関係ないことなのに。

・・・カチ・・・

「うぅっ、ふ・・・。」
あたしのバカ。
フローリングにいくつものシミが出来てゆく。

・・・カチ・・・

右手で髪をかきあげ、
しゃくりあげる。
きっとこれ以上ないくらいひどい顔で。

・・・カチ・・・

もうだめだ。
想いが溢れてしまう。
リョウに恋人ができても、たとえ自分のことを好きにならなくても、
「自分はシティーハンターなんだから」なんて、ただの都合のいい口実。
リョウのそばを離れたくない勝手な言い訳。
そばにいるということは、「こういうこと」。


全部わかってたはずなのに。


何度も何度も塞き止めようとしても、
すぐに氾濫してしまう。
これ以上想いを溢れさせては、だめ。

・・・カチ・・・

リョウ・・・。

・・・カチ・・リ・・・

頭の奥で、「あの」音が聞こえた。





***




最近、お向いさんの様子がおかしい。

つい10日ほど前、馴染みの店でリョウが恋人を披露した、という話は
愛妻からも、キャッツの女主人からも
耳にタコができるくらい聞かされた。

その場にいなかったのが残念だったくらい、
その恋人は美女だったらしいじゃないか。

Shit!なんてこった!
なんでよりによってこのオレじゃなく、
あのもっこりスケベのリョウなんだ!

非っっ常―――に、納得いかん!

・・・ご、ごほんっ!
あ~、オレの言いたいことはこんなことじゃなくってだな。

つまり・・・。
今回の一件についてオレがおかしいと思っていることは2つ、だ。

まず1つ。
リョウだ。

あいつ、一体どういうつもりなんだ?
リョウがカオリのことをどう思っているかなんて、
顔にこそ出さないが、オレたちの間では暗黙の了解になっている。
二人を知っている人間に聞けば、
「何を今さら。」と言われるのがオチ。
それくらい、リョウはカオリを大切に思っている。

今まで百戦錬磨のあのリョウが、
大事すぎて手が出せなかった彼女。
いつか表の世界に返したいと思っていた彼女。
いつか普通の男を結ばれて普通の幸せを手にすることを願っていた彼女。
そういう思いを何年も抱いていたくせに、
ずっと手放せなかった彼女。

その彼女を放っておいて、
・・・他に女をつくるだぁ!?

一夜限りの付き合いの女ならともかく、
特定の、しかも恋人という名の女をつくるなど、
オレの知っているリョウじゃありえねぇ。

・・・どういう心境の変化なんだろうか。
あのカオリを差し置いて、現在「恋人」と名乗る女性に惚れた?
その可能性はゼロだ。断言できる。
女性に対する一定の感情(いわゆる女好き)は認めるが、
それ以上はそこらへんの女じゃ無理だ。
何より、リョウにとってカオリ以上の存在が現れることは、
この先ないと言っても過言じゃない。

じゃ、ただの気まぐれか?
いや。
ただの気まぐれにしてはずいぶんと手が込んでいる。
面倒なことが嫌いなリョウがするとは思えない。
性欲処理のための女なら苦労はしていないはずだ。

だとしたら、目的は何だ?
恋人をつくることがリョウにとって何のメリットが?




そんなリョウ以上に分からないことがある。

2つ目はカオリ、だ。



リョウが恋人をつくったってことを、
カオリがどう思っているのか。

近所や街で見かける限りでは、特に変わった様子はない。
やつれてもないし、表情も暗くない。
もともと、カオリは嘘をつくのが苦手な方だ。
考えていることが顔に出ることも多い。
そんな彼女が、周りに心配をかけまいと強がったり、
わざと元気に振舞えば、
付き合いの深いオレたちにはすぐ分かる。
それを感じさせないということは。

・・・何も気にしていないということか?

いやいや。
彼女に限ってそんなことは、東京に大雪が降る以上に可能性が低い。
誰が見たって、カオリがリョウに惚れているのは分かる。
ベタ惚れだ。(非常に悔しいが。)

じゃあ、ただ無理をしているだけか?
いや。そんなふうにも見えない。

一体どういうことだ?

さっぱり分からない。












たくさんの拍手ありがとうございます!
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