それでも

完全自己満足のCH二次創作ブログです。 想いのままに書き散らかしています。

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period⑧

またまたお待たせしてすみません(土下座)










リョウに腕を引かれて歩く。
その速度はパンプスの細いヒールでは頼りなさを感じるくらい速くて。
「ちょ、ちょっと、リョウ!」
声をかけるけど、リョウからの反応は全くない。返事のかわりに捕まれた腕が軋む。
何度かよろめきながら、エレベーターに辿り着いた。

「ちょっと・・・!離してっ」

捕まれたままの腕を振り払おうとするが、強い力にびくともしない。
なぜだか分からないけど、悔しさに似た感情が沸き上がる。



なんで。



捕まれたままの腕に視線を落として唇を噛む。




なんでここに来るの。



フロントを通り過ぎ、表に停めてあったクーパーに半ば無理矢理押し込められる。



なんで。




窓の外に視線を移して唇を噛む。




なんでこんなこと。





あたしのことなんかどうでもいいくせに。
男女で凶暴な、ただのパートナーとしか思ってないくせに。
親友からのあずかりものとしか思ってないくせに。

あたしのことなんか、本当は好きじゃないくせに。



鼻の奥がツンとする。
ぎゅっと目を瞑って、溢れそうになる涙をこらえる。
泣くなあたし。
ここで泣いたら、リョウがあたしを好きじゃないことが悲しいみたいじゃないか。
悲しくなんかない。もうリョウなんか好きじゃない。
あたしたちはただのパートナー。それ以上でも以下でもない。
大丈夫、分かってる。
深呼吸をして気持ちを落ち着ける。
目を開けると、瞳はまだ少し濡れていた。



アパートに着くまで、リョウは一言もしゃべらなかった。








クーパーをガレージに入れると、先に動いたのはリョウだった。
心なしかドアを閉める音がいつもより乱暴だ。
続けて降りると、距離を開けてリョウの後ろを歩く。どうやらもう腕をつかむ気はないらしい。そのことにわずかに胸をなで下ろすと、痕のついた右腕に触れる。鈍い痛みがいっそうあたしの中をざわめかせる。


なんで。



ソファに腰を下ろしたリョウをリビングの入り口で見つめる。
ため込んできた「なんで」を聞くチャンスかもしれない。

なんでホテルに来たの?
なんで連れ戻したの?
なんでキスしたの?
なんであたしを好きって言うの?

でも。言ったところで結果は目に見えている。

あたしがアニキの妹だから。
大事な預かり物だから。
キスも言葉も連れ戻したのも、それが理由。

なんかもう、疲れた。

あたしが選んだ人じゃだめなら、リョウ、あなたが連れてきてよ。あなたが許した人とだったらいいって言うならそうするから。だからさ、だから。あたしをこれ以上――。

「おい」
「・・・なに」
「こっちきて座れ」
「なんで」
「話が」
「話すことなんてないよ」
「香」
「だってそうでしょ?あたしが何をしたって、リョウが気にいらなかったら全部リョウの思い通りにしかならないんだから。今さら何を話すの?」
「・・・俺が何を気に入らなかったのか分かるのか」
「細田さん」
あたしは即答で返す。ちがう?と追い打ちをかけるように視線を送ると。


「・・・違うな」


予想外の言葉に一瞬言葉につまった。
「じゃあ何よ?『保護者』のリョウにだまって会ってたこと?報告が必要だなんて知らなかったわ」
「保護者」にわざと力を入れて言う。
「違うな」
リョウが何を言おうとしているのか見えなくてイライラする。早くこの場を終わらせたい。
「じゃあ分からないわ。て言うか、もう分からなくていい。あたし疲れたからもう」
「本当に分からねぇの?」
いつの間には立ち上がっていたリョウがあたしを見る。

「・・・そう言ってるじゃないの」

「おまえさ」

一歩。

「本当に」

また一歩。

「俺が何を気に入らねぇのか」

あたしとの距離を縮めてくる。

「分かんないの?」

そう問われたときにはリョウは目の前で。

「だからっ、さっきからそう言ってるじゃないの」

「他の野郎にこんなことされて、挙げ句の果てに首にこんな痕までつけられやがって」
そう言ってリョウはあたしのブラウスに手をかける。何のことを言われているのかハッと気がついたときにはボタンは全部留められていた。
「何とも思ってない女だったらどうでもいいさ。でも、自分が惚れた女となったら話は別だ」

視線が交差する。

「俺は、おまえが他の男と付き合うのも、会うことすら気に入らねぇの。それがどんなにいい男だろうが、金持ちだろうが、・・・・・・おまえが好きになったヤツだろうが」

「・・・え・・、」

見たこともない真剣な表情に声がうまく出てこない。
リョウは小さく息を吐くと
「おまえのことが好きだって、言ったよな?」
と言った。

「・・う、うそ」
「なんでうそなんだよ」
「だ、だって!そうじゃないの!どう考えたってっ・・・!」
だめだ、泣くなあたし。視界が歪むのはきっと気のせいだから。
「香」
伸びてきた腕をとっさに払う。
「じょ、冗談きついよ、リョウ」
「冗談じゃねぇよ」
「もういいよ。分かったから!ね。今度からはちゃんと報告するから。『保護者』を心配させることはもうしません!ね?」
これ以上は無理だ。あれほど「もういい」と思っていた感情が溢れてしまう。
信じちゃだめ。惑わされちゃだめ。リョウは本気じゃないんだから。

「全っ然分かってねぇよ、おまえ・・・」
苦虫を噛みつぶしたように吐き出すリョウを見てもあたしは止まらなかった。
「分かってるってば!あんたが言ってるのはあたしが大事な預かり物だからでしょ?もう十分だよ、何年経ってると思ってんの。アニキに恨まれるとかそんな心配なら」
「逃げんなよ」




何?




そう言葉が続く前にリョウの腕があたしを捕らえた。









なかなか落ちないカオリンに必死になればいい。




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